ヤギ飼育の必需品!
快適なヤギライフを送るための道具ガイド

「ヤギを飼ってみたいけど、何から準備すればいいの?」
そんなあなたへ。
今回はヤギ飼育に必要な道具を、飼育環境、餌やり、健康管理など、目的別に詳しくご紹介します。
最高の環境を作り、是非ともヤギとの素敵な暮らしをスタートさせましょう!
1. はじめに:ヤギの魅力と飼育の基礎知識

ヤギを家族に迎える前に、知っておきたいヤギの魅力と飼育の基礎知識をまとめました。
ヤギを飼育する魅力
- 人懐っこい性格:ヤギは好奇心旺盛で人懐っこい動物です。飼い主になつきやすく、名前を呼ぶと駆け寄ってくる姿に心が癒やされます。
- 乳・肉の利用:ヤギの乳は栄養価が高く、チーズやヨーグルトなどの加工品にも利用できます。また、ヤギ肉は低脂肪で高タンパク質 であり、ヘルシーな食材として注目されています。
- 除草効果:ヤギは雑草を好んで食べるため、庭の除草に役立ちます。環境にやさしい除草方法として、近年注目されています。
ヤギの種類
ヤギには、乳用、肉用、毛用など、様々な種類が存在します。ここでは、代表的なヤギの種類とその特徴をご紹介します。
- 日本ザーネン:日本で最も多く飼育されている乳用種。乳量が多く、飼育しやすいのが特徴です。
- トカラヤギ:鹿児島県トカラ列島原産の小型のヤギ。粗食に強く、繁殖力が高い。
- ザーネン種:スイス原産の乳用種。世界中で飼育されている代表的な品種。
- アルパイン種:フランス原産の乳用種。寒さに強く、山岳地帯での飼育に適している。
- ヌビアン種:アフリカ原産の乳用種。垂れ耳とローマ鼻が特徴。
ヤギの飼育に必要な基本的な知識
- 飼育環境:ヤギは寒さには比較的強いですが、暑さには弱いです。風通しの良い日陰を確保し、雨風をしのげる小屋を用意しましょう。極端な寒さや暑さからヤギを守るための対策が必要です。
- 餌:主食は牧草ですが、濃厚飼料や野菜、果物なども必要です。バランスの取れた食事を与えましょう。
- 健康管理:定期的な健康チェック、ワクチン接種、寄生虫駆除などが必要です。健康状態に気を配り、異変があれば早めに獣医師に相談しましょう。
ヤギ飼育における注意点
飼育の基本的な知識を踏まえ、さらに注意すべき点があります。
- 法規制:ヤギは家畜伝染病予防法の対象動物です。飼育する際は、住んでいる自治体に届け出が必要です。
- 近隣への配慮:鳴き声や臭いなど、近隣への配慮も大切です。飼育場所や管理方法に注意し、トラブルを未然に防ぎましょう。
2. 飼育環境を整えるための道具

ヤギが快適に過ごせるよう、適切な飼育環境を整えることは非常に重要です。ここでは、小屋、柵、給水器・飼槽など、飼育環境を整えるために必要な道具をご紹介します。
小屋
ヤギの小屋は、雨風や直射日光を避け、安全に休息できる場所です。小屋の種類、素材、サイズ、設置場所などを考慮して選びましょう。
種類 | 素材 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
簡易的な小屋 | 木材、ターポリン | 安価、設置が容易 | 耐久性が低い、断熱性が低い |
本格的な小屋 | 木材、金属、ブロック | 耐久性が高い、断熱性が高い | 高価、設置に手間がかかる |
- サイズ:飼育するヤギの頭数と大きさに合わせて、十分な広さを確保しましょう。目安として、成ヤギ1頭あたり3~4平方メートルが必要です。
- 設置場所:日当たり、風通し、水はけが良い場所を選びましょう。
- DIY vs 購入:DIYが得意な方は、自作することも可能です。市販の小屋も様々な種類があります。
- 換気:小屋内の適切な換気は、ヤギの健康維持に不可欠です。湿気やアンモニアの蓄積を防ぎ、呼吸器疾患のリスクを軽減します。窓や換気扇を設置するなど、小屋内の空気循環を確保しましょう。
柵
柵は、ヤギの脱走を防ぎ、外部からの侵入者からヤギを守るために必要です。素材、高さ、設置方法などを考慮して選びましょう。
- 目的
- 脱走防止:ヤギは好奇心旺盛で、隙があれば脱走しようとします。
- 安全確保:外部からの動物や人の侵入を防ぎ、ヤギの安全を守ります。
- 素材
- 木材:自然な景観に馴染みますが、耐久性が低く、ヤギがかじってしまう可能性があります。
- 金属:耐久性が高く、長持ちしますが、高価になる場合があります。
- 編み込みワイヤー: 比較的安価で、柔軟性があり、起伏のある地形にも適応しやすい。
- 溶接ワイヤー: 強度が高く、耐久性に優れているが、柔軟性に欠ける。
- 電気網: 脱走防止効果が高いが、定期的なメンテナンスが必要。
- 電気柵:ヤギに電気ショックを与えて脱走を防ぎますが、設置や管理に注意が必要です。
- 高さ:ヤギは跳躍力があるため、1.2m以上の高さが推奨されます。
- 設置方法:地面にしっかりと固定し、隙間がないように設置しましょう。
- 捕食者対策:柵を設置する際は、地域に生息する捕食者(コヨーテ、キツネ、オオカミなど)への対策も考慮する必要があります。捕食者の種類に応じて、電気柵の利用、柵の下部を地面に埋める、有刺鉄線の設置などの対策を講じましょう。例えば、コヨーテ対策には電気柵が有効ですが、キツネは地面を掘って侵入するため、柵の下部を地面に埋める必要があります。
給水器・飼槽
ヤギに常に新鮮な水と餌を与えるために、適切な給水器と飼槽を用意しましょう。
- 種類
- バケツ:安価で手軽だが、水が汚れやすい。こまめな清掃が必要です。
- 自動給水器:常に清潔な水を供給できる。設置費用は高くなりますが、衛生的で便利です。
- 飼槽:餌を与えるための容器。素材や形状、サイズなど様々な種類があります。
- 素材
- プラスチック:軽量で扱いやすい。価格も比較的安価です。
- 金属:耐久性が高く、長持ちする。錆びにくいステンレス製がおすすめです。
- 容量:飼育頭数に合わせて、適切な容量のものを選びましょう。
- 清潔さ:給水器や飼槽は、定期的に清掃し、衛生的に保ちましょう。特に夏場は、水が腐りやすいため、注意が必要です。
3. 餌やり・世話に使う道具
ヤギの健康を維持するためには、適切な餌やりと世話が欠かせません。ここでは、餌やり用品、ブラッシング用品、蹄の手入れ用品など、ヤギの世話に必要な道具をご紹介します。
餌やり用品
- 牧草フィーダー
- 種類:ネット型、ラック型など。ヤギの食べ方に合わせて選びましょう。
- 素材:金属、プラスチックなど。耐久性や清潔さを考慮して選びましょう。
- メリット:牧草の無駄を減らし、清潔に保てる。
- 干し草ネット:干し草をネットに入れて与えることで、無駄な消費を抑え、ヤギがゆっくりと食べることができます。また、干し草を地面に落とさないため、呼吸器系の問題を予防する効果もあります。
- 餌入れ
- 種類:バケツ、ボウルなど。餌の種類や量に合わせて選びましょう。
- 素材:プラスチック、金属など。耐久性や清潔さを考慮して選びましょう。
- 容量:飼育頭数や餌の量に合わせて選びましょう。
- ミネラルフィーダー:ヤギは、健康維持のためにミネラルを必要とします。ミネラルフィーダーを使用することで、ヤギが必要なミネラルを自由に摂取することができます。
ブラッシング用品
- ブラシの種類
- 短毛種用:硬めのブラシで、汚れや抜け毛を取り除く。
- 長毛種用:柔らかめのブラシで、毛並みを整える。
- コーム:毛玉やもつれを解きほぐす。
蹄の手入れ用品
- 蹄トリミングナイフ:伸びすぎた蹄を切る。切れ味の良いものを選び、安全に配慮して使用しましょう。
- ヤスリ:蹄の表面を滑らかにする。
- 蹄のトリミング頻度:蹄は定期的にトリミングする必要があります。頻度は、ヤギの飼育環境や活動量によって異なりますが、一般的には1~2ヶ月に1回程度です。
- 伸びすぎた蹄の兆候:蹄が伸びすぎると、歩行に異常が見られたり、蹄が割れたりする可能性があります。定期的に蹄の状態をチェックし、以下の兆候が見られる場合はトリミングを行いましょう。
- 歩行がぎこちない、または跛行する。
- 蹄が地面に垂直に伸びている。
- 蹄が変形している。
- 蹄が割れている。
除角・去勢用品(必要な場合)
- 除角器:子ヤギの角を除去する。安全な方法で行いましょう。
- 去勢用具:雄ヤギの去勢を行う。
4. 健康管理に役立つ道具

ヤギの健康を守るためには、日々の観察と適切な健康管理が重要です。ここでは、体温計、聴診器、駆虫薬投与器など、健康管理に役立つ道具をご紹介します。
体温計
ヤギの体温を測るために使用します。直腸式体温計が一般的です。
聴診器
ヤギの心音や呼吸音を聴くために使用します。
駆虫薬投与器
ヤギに駆虫薬を投与するために使用します。 ヤギは、内部寄生虫に感染しやすいため、定期的な駆虫が必要です。駆虫薬には、錠剤、液剤、注射剤など様々な種類があります。獣医師の指示に従って、適切な駆虫薬を選び、正しい方法で投与しましょう。駆虫薬の種類によって、対象となる寄生虫が異なります。また、同じ駆虫薬を長期間使用すると、耐性ができてしまう可能性があるため、定期的に駆虫薬の種類を変える必要があります。
薬箱
常備薬、消毒薬、包帯などを保管しておく薬箱があると便利です。
隔離スペース
病気のヤギを隔離するためのスペースを設けましょう。他のヤギへの感染を防ぐことができます。
5. 乳搾り・乳処理に使う道具(乳用ヤギの場合)

乳用ヤギを飼育する場合は、乳搾りや乳処理に必要な道具を揃えましょう。
- 搾乳器
- 手動:手動で乳を搾る。小規模飼育に適しています。
- 電動:電動で乳を搾る。搾乳時間を短縮できます。
- ポータブル搾乳器: 持ち運びが容易で、少量の乳搾りに適しています。
- パイプライン搾乳器: 複数のヤギから同時に乳を搾ることができ、大規模飼育に適しています。
- バケット搾乳器: バケツに直接乳を搾るタイプ。中規模飼育に適しています。
- 搾乳機の選び方:搾乳機を選ぶ際は、飼育規模、搾乳頻度、予算、自動化のレベルなどを考慮しましょう。
- 乳用フィルター:乳に混入した異物を取り除く。清潔なフィルターを使用しましょう。
- 乳缶:搾った乳を保管する。ステンレス製など、衛生的で耐久性のあるものを選びましょう。
- 冷却器:乳を冷やすことで、品質を保つ。
6. その他便利グッズ

- リード:散歩に連れて行く際に使用する。
- ハーネス:リードと併用して使用する。ヤギの体に負担をかけにくいものを選びましょう。
- 首輪:名札などを付ける。
- おもちゃ:ヤギのストレス解消に役立つ。ボール、ブラシ、ロープなど、ヤギが安全に遊べるものを選びましょう。
7. ヤギ飼育に役立つ情報源

- 書籍:「ヤギの飼い方」(誠文堂新光社)、「ヤギを飼う」(家の光協会)、「最新 ヤギの飼い方」(農文協)など
- ウェブサイト:一般社団法人 中央畜産会 (https://www.clca.jp/)、全国山羊ネットワーク (https://yagi-net.jp/)、独立行政法人 農畜産業振興機構 (https://www.alic.go.jp/) など
- 専門家への相談:獣医師、畜産試験場、経験豊富なヤギ飼育者など
9. まとめ:ヤギとの楽しい暮らしを

この記事では、ヤギ飼育に必要な道具をご紹介しました。ヤギとの暮らしは、癒しや喜びをもたらしてくれるだけでなく、責任と手間も伴います。必要な道具を揃え、ヤギの健康と安全に配慮しながら、ヤギとの楽しい暮らしを築いていきましょう。適切な飼育環境と道具、そして日々の世話によって、ヤギは健康で長生きすることができます。ヤギとの生活を始めるにあたって、この記事が参考になれば幸いです。
より詳しい情報を得るためには、上記の「ヤギ飼育に役立つ情報源」もぜひご活用ください。また、地域のヤギ飼育者と交流することで、貴重な情報やアドバイスを得ることができます。準備と心の準備をしっかりとして、ヤギとの素晴らしいスタートを切りましょう!
以上 ヤギの飼育に使う道具についてでした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
参考文献
ウェブサイト
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/
- 独立行政法人 家畜改良センター: https://www.nlbc.go.jp/
- 一般社団法人 中央畜産会: https://www.clca.jp/
- 全国山羊ネットワーク: https://yagi-net.jp/
- 独立行政法人 農畜産業振興機構: https://www.alic.go.jp/
- 公益社団法人 日本獣医師会: https://www.nichiju.or.jp/
- 国立感染症研究所:https://www.niid.go.jp/niid/ja/
- 家畜衛生研究所:https://www.zennoh.or.jp/about/research/livestockhygiene.html
- 島根家畜保健衛生所:https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/seisan/kachikueisei/kaho/
- 畜産Zoo鑑:https://zookan.lin.gr.jp/
- Wikipedia:ヤギ
論文
- ヤギにおける寄生虫感染症の現状と対策(家畜衛生試験場)
- ヤギの寄生虫症に関する研究(日本獣医師会)
- ヤギの健康管理と寄生虫対策(農林水産省)
書籍
- 「新特産シリーズ ヤギ」(農山漁村文化協会)
- 「ヤギの科学」(朝倉書店)
- 「ヤギと暮らす」(地球丸)
- 「ヤギ飼いになる」(誠文堂新光社)